「ベビーフードって添加物がいっぱい入っているんでしょ」
そう思っていませんか?
使用される場合も、かなり種類が限られているので安心してください。
ベビーフードは規格が設けられているため、添加物の使用も制限されています。
知ることで不安を無くして、安心して使用してください。
もくじ
ベビーフードとは
まずは、ベビーフードがどういうものかをみていきましょう。
ベビーフードって何?
ベビーフードは1歳半くらいまでの幼児が食べる離乳食です。
「乳児」および「幼児」の発育に伴い、栄養補給を行うとともに、徐々に一般食品に適応させることを目的とした食品をいう
日本ベビーフード協議会
水を加えて食べるタイプのものや、そのまま食べられるレトルト食品や瓶詰食品など色々な種類があります。
最近はインターネットなどで様々なメーカーのものが購入できようになっていますが、今回はスーパーなどで購入できる国内の6つのメーカー※のベビーフードについて詳しくみていきます。
※和光堂/グリコ/雪印ビーンスターク/ピジョン/森永/キユーピーの6社
ベビーフードは規格が厳しい
ベビーフードは安心して使用できる離乳食です。
なぜなら、この6つのメーカーは日本ベビーフード協議会を運営し、自主規格を作り、自主規格に則った商品を製造しているからです。
つまりベビーフードはより厳しい規格で作られているということです。
添加物も、ベビーフードに使用できるものはごくわずかです。
添加物に限らず塩分濃度の上限が決められていたり、安心と安全のため衛生面や食感など細かく配慮されているといえます。
では、添加物はどう規格されているのでしょうか?
使用してはいけない添加物
誤解されている方も多いのですが、添加物はほとんど使用されていませんし、保存料の使用は認められていないため、入っている商品はありません。
全てのベビーフードに保存料は使用されていません
レトルト食品や瓶詰食品は、密閉して高温加熱し殺菌することで腐ることなく長期保管できるのです。
着色料・旨味調味料(化学調味料)も使用が認められていので、全ての商品に使われていません。
その他多くの添加物の使用が認められていません。
インターネット上で保存料無添加・化学調味料無添加と謳っているベビーフードもたくさんみかけます。
しかし、スーパーで売っている大手のベビーフードに「無添加」と書いていなくても、保存料や化学調味料は使用されていないのです。
使用してもよい添加物
ベビーフードは規格で定められた添加物しか使用することができません。
日本で認められている添加物は800品目以上ありますが、ベビーフードで認められている添加物はこのうちのわずかで香料、栄養強化剤を除けば24種類だけです。
これはとても少ないといえます。
※ベビーおやつ、ベビー飲料は別の規格があります。今回はベビーフードについてみていきます
ベビーフードに認められている添加物とは
使用が認められている添加物を全て紹介します。
ベビーフードを選ぶとき、原材料表示をみて「なんだろう?」と気になった方は参考にしてみてください。
ただ、少し難しい言葉が多いので、詳細が不要な方は↓までとばしてください。
ベビーフードに添加物を使用する理由
乳化剤
レシチン
大豆や卵などに含まれる成分です。
水と油など混ざりあわないものを均一に混ざりあった状態(乳化)にするために使用します。
表示例:乳化剤
酸化防止剤
L-アスコルビン酸、抽出トコフェロール
アスコルビン酸:ビタミンC トコフェロール:ビタミンE
表示例:酸化防止剤(ビタミンC)
酸味料/調味料
クエン酸/クエン酸ナトリウム
クエン酸ナトリウムは調味料としては、化学調味料とよばれているグルタミン酸ナトリウムとは異なり旨味をつけるものではありません。
表示例:酸味料
安定剤
カロブビーンガム、キサンタンガム、グアガム、タマリンドシードガム、ペクチン
植物から作られる多糖類などです。
粘度をつけたり、均一な状態を保つために使用します。
表示例:安定剤(キサンタンガム)
増粘剤
加工デンプン(アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酸化デンプン、ヒドロキシルプロピル化リン酸架橋デンプン)、カードラン
でん粉を化学処理した加工デンプンと微生物由来の多糖類(カードラン)です。
食品に粘度(とろみ)をつけることを目的として主に使われています。
表示例:増粘剤(加工デンプン)
製造用剤
水酸化カルシウム、粗製海水塩化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、トレハロース
豆腐用凝固剤の用途に限る・・・グルコノデルタラクトン、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム
こんにゃくのアクを抜く(水酸化カルシウム)、豆腐を固める『にがり』(粗製海水塩化マグネシウム)など加工工程で必要な添加物です。
炭酸水素ナトリウムは『重曹』とよばれ、焼き菓子を膨らませる膨張剤です。
表示例:豆腐用凝固剤
香料
天然香料(オレンジ・もも・りんご)
香料には天然由来のものと、合成したものとあるのですが、ベビーフードには天然の果物から作ったものしか使用できません。
表示例:香料
栄養強化剤
カルシウム
貝カルシウム、グルコン酸カルシウム、骨焼成カルシウム、炭酸カルシウム
鉄
クエン酸第一鉄ナトリウム、ピロリン酸第二鉄
ビタミンC
L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム
ビタミンD
コレカルシフェロール
これらは赤ちゃんの栄養補給に敢えて加えられるものですので、安心してください。
乳化剤、酸味料ももっとたくさんの種類があるのに1種類しか使用できません。
ベビーフード以外の加工食品の開発ではもっと様々な添加物の選択肢があります。
ベビーフードに添加物を使う理由
家庭では使わない添加物。
よく、添加物は「安く作るためにいれているんだ」という人がいますが・・・本当でしょうか?
安心のための添加物
ベビーフードに使用される添加物は、より安全で安心な商品を作るために添加されていると感じます。
ベビーフード以外ではもっと様々な目的でたくさんの種類の添加物が使用されています。
例えば、着色料を使用して色をつけたり、甘味料を使って甘味をつける食品もあります。
これに対し、ベビーフードに使用してよい添加物は、乳化剤・安定剤・増粘剤・酸化防止剤など離乳食に必要な形状や品質を保つため、賞味期限内の品質の安定性のために添加されるものが主となっています。
でも、あえて添加物でなくてもよいのではないか?
添加物を入れないと作ることはできないのか?
疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
この点について、加工デンプンを例に考えていきましょう。
加工デンプンの役割
赤ちゃんの離乳食に硬さやとろみなどの物性はとても重要で、月齢に応じた適切なものでないと飲みこみづらいですよね。
この硬さやとろみの調整に家庭ではでん粉として片栗粉がよく使われますが、ベビーフードにもコーンスターチといったでん粉が使われるだけでなく、添加物である加工デンプンも使ってよいことになっています。
片栗粉
⇒じゃがいもに含まれるでん粉
コーンスターチ
⇒トウモロコシに含まれるでん粉
使用が制限されているとはいえ、添加物を選択する理由はなんなのでしょうか。
加工デンプンは、一般的なでん粉に比べて生産する工程(ブレンドや殺菌)、保管中でも硬さや粘度が安定するのです。
同じ商品でも買う度に硬さや粘度が異なったりしないため、品質を保つという目的のためには加工デンプンの方がより効果が高いのです。
添加物への不安と対策
よく加工デンプンは駄目だ!という人がいます。
不安になるかと思いますので加工デンプンについて、少しふれておきます。
加工デンプンへの不安
加工デンプンとは、植物に含まれるでん粉を化学処理したもので11種類が食品添加物として使用されています。
そのうち、ベビーフード使用できるものは5種類です。
①アセチル化アジピン酸架橋デンプン
②アセチル化リン酸架橋デンプン
③オクテニルコハク酸デンプンナトリウム
④酸化デンプン
⑤ヒドロキシルプロピル化リン酸架橋デンプン
とてもむずかしい名前ですが、食品表示には全て『加工デンプン』と記載されるので名前を覚える必要は全くありません。
このうち⑤の加工デンプンについては以下のような懸念があり、指摘をする人がいます。
欧州連合において、これらの製造工程で使用されるプロピレンオキシドや副生成物等の安全性情報が不足していることから、乳幼児食品への使用は適切でないとされています
この⑤の加工デンプンを製造する際に発がん性が疑われる物質が使われており⑤の加工デンプンはEUでは乳幼児の食品に使用できないのです。
このことで「加工デンプンはだめだ」という記事をみかけますが、なぜEUではダメなのか?日本では認められているのか?についてはふれていない記事が多く、不安だけが残ります。
発がん性の疑いがあるのは、⑤の加工デンプンそのものではありません。
作る時に発がん性の疑いがある物質を使うということが問題とされています。
では、なぜ日本では認められているのでしょうか?
わが国の推定摂取量に基づく生涯リスクを導いたところ、一般に遺伝毒性発がん物質の無視しうるレベルとされる100万分の1レベルを下回った。また、生体組織に吸収されたプロピレンオキシドは、グルタチオン抱合や加水分解により代謝、解毒されるとされており、そのリスクは極めて低いと考えられた。
厚生労働省HP 食品健康影響評価結果
つまり日本で検証したところ、発がん性を心配するには無視できるくらい摂取量が少なく、食べても身体の中で違う物質に変わるから大丈夫ということです。
※加工デンプンは一般の食品には添加量の上限はないのに対し、ベビーフードには5%という上限が定められています。
また、加工デンプンそのものでマウスを用いて、発がん性の試験も実施されているのですが発がん性は認められていません。
表示をみて確認しましょう
そもそも添加物は加工デンプンに限らず、発がん性の試験をおこなって問題ないものだけが使用を認められています。
しかし、いくらリスクが低いと言われても、なんとなく嫌な気持ちになる人もいると思います。
パッケージの食品表示をみて確認してください。
これは、加工デンプンが使われている場合の原材料表示例です。
精白米(国産)、にんじん、昆布だし、鶏肉、食塩/増粘剤(加工デンプン)
添加物は/や別枠で区切られて記載されています。
その他の添加物も、このように/の後や別枠で記載されています。
自分で納得するものを、食品表示をみながら選んでくださいね。
まとめ
ベビーフードに使用されている添加物については、種類も限られ、添加量も決められているので神経質になる必要はありません。
表示をみながら上手に取り入れて、育児への不安を軽く、楽にしていきましょう。